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雨水末候   草木萠動[そうもくもえうごく]

東陽町のものづくり復興

2018年3月3日更新
【キュレーター】眞藤 隆次 八代エリア

熊本県中央部の少し南。
八代市の北の端に近いところに東陽町という地域があります。
八代平野と九州山地の境目、少し山側に入ったところという説明がわかりやすいでしょうか。

氷川という川の流域で、古代は火打石用の石が川底から採れたといい、氷川町や小川町あたりとともに古代国「火の国」を構成したエリアです。
やや平野よりの氷川町・小川町に対して東陽町は少し山に踏み込んだあたりという感じですね。

明治時代までは山地や中山間地に多くの人々が住んでいました。
むしろ平野に住むより食料も仕事も山の中にこそ多くあったと言っても過言ではないでしょう。
例えば、現在のガス・石油の代わりとなる薪や木炭は山中で作られ、東陽のような町を中継地として平野の街にもたらされました。
そのように山地・中山間地はエネルギー供給基地であり、建材や物づくり資材の供給基地であり、食料の供給基地でした。
そんな生産活動が山地・中山間地には豊富にあったのです。

明治以降、近代化が主に平野部で集中して行われたことにより、山地や中山間地から人々が平野に吸引され、近代が終わる頃に山間地中山間地は過疎という現実に直面します。

さて、そういう時代の流れと無縁ではない東陽ですが、いま実に面白い取り組みが行われています。

まず、70代、80代の先輩方が炭焼きをしたいと、九州最大級の炭焼き窯を山の中にこしらえました。
中は人が立って歩けるほどの大きさです。
そこで大事なことは、この窯を造作するための道具まで全て身近な木材を使って手しごとで作られたことです。

広葉樹の樫の木は東陽町の山中にたくさん生えています。それを切り出すのは結構な作業です。
また、その大きな窯では竹炭や良質の樫炭が焼かれますが、火加減などは体力勝負の部分が非常に大きい。
ここは50代60代前後の先輩方の出番です。

そうしてできた木炭は、叩くと金属音がするくらい高質なもので、きちんと保管していればあまり爆ぜたりすることがありません。
輸入炭は爆ぜるので屋外用と箱に記載されていますが、東陽の炭は室内でも使えます。

炭焼きをする先輩方がおられる一方で、東陽の清冽な水と、使わなくなった貯水槽を使ってヤマメを養殖する先輩方もおられます。
貯水槽は結構な深さがあり、尾びれの先まで尖っているのは天然ものか、こうしたゆったりと泳げるいい環境の養殖ものだということでした。

そのヤマメを焼くのはやはり50代60代の先輩方。
さらにいえば、ヤマメに突き刺す竹串も、人生の先輩方が地域の竹を切って、手作業で削られます。

ということで、このヤマメの塩焼き、炭と竹串とヤマメの養殖と、すべて東陽の手しごとでできています。
とてもいいのは80代の先輩から、30代の若手まで、それぞれ仕事を分担して、売り上げもみんなにそれぞれ回るようになっていること。

手仕事と手仕事をつなげて素晴らしい産品を作り、それで皆が笑顔になる。
地域における手仕事経済の未来が見える、そういうヤマメの塩焼きです。

ちなみに今日と明日(2018年3月3日・4日)、グランメッセ熊本で開催される県南フードバレーフェスタに東陽のヤマメの塩焼きも出展されます。
昨年、大人気だったシイタケの串焼きもあります。
ぜひ、中山間地の新しくも素晴らしい手仕事の成果を味わってみてください。
(写真は今年2月に行われた東陽町交流館せせらぎの周年祭で焼かれたヤマメ)