「人にも環境にも優しい」をモットーに 植物の持つ美や力を精一杯引き出す
[ #049 ]
#011
クリスマスを待つ待降節「アドベント」と、12月25日の「クリスマス」。実はその後、1月6日までが正式なクリスマスの期間です。
宣教師、フランシスコ・ザビエルとともに日本に伝わった「クリスマス」。その歴史は500年以上と古く、今ではすっかり日本の行事として定着しました。
今回、クリスマスの本来の意味や、正式な期間、クリスマスツリーの飾りの意味などについて、教会の牧師さんに教えていただきました。欧米では、イエス・キリストの誕生を記念する「クリスマス」は、家族と一緒に過ごすのが一般的だそうです。
生命の象徴である“常緑樹”を使って作るクリスマスリースは、森の香りのような清々しいフレーバーが漂います。今年はクリスマスを待つ「アドベント」の期間を、手作りのクリスマスリースの香りや、クリスマスのお菓子を楽しみながら過ごしませんか?
「クリスマス」(12月25日)は、救世主イエス・キリストが古代イスラエルの町・ベツレヘムで生まれたことを記念する日です。「Christ-Mass」という名称は、「Chirist(キリスト)」の「mass(ミサ/礼拝)」に由来します。
「クリスマス」はキリスト教徒によって「降臨祭」とされ、その後、世界中に広がりました。(ただし、イエス・キリストの誕生日については、聖書の中には記されていません)
新約聖書の中には、「ベツレヘムでキリストが誕生した直後、誰も見たことのない星が西の空に輝き、東方から来た賢者たちにイエスの生誕を知らせキリストのもとへ導いた」と書かれています。
クリスマスを待つ期間を「アドベント」といいます。
「アドベント」は、“到来”を意味するラテン語の「Adventus(アドベンタス)」に由来し、“待降節”“降臨節”ともいわれます。「アドベント」は、一般的にクリスマスに近い日曜日から数えて4週間前の日曜日から始まります。(2014年のアドベントは11月30日~)
教会では、「アドベントクランツ」という常緑樹で作った輪の飾りの上に4本のロウソクを立て、日曜日毎に1本ずつ火を灯し、クリスマスを待ちます。
「クランツ」は、ラテン語でコロナ(冠)と言い、イエス・キリストを讃える王冠を意味します。
一般的に12月25日が過ぎると、クリスマスツリーなどの飾りを片付けますが、正式なクリスマスの期間は12月25日から1月6日までです。1月6日は、イエス・キリストが誕生した知らせを受けて、東方から来た賢者たちがベツレヘムに到着した日といわれる「公現日(こうげんび)」です。イエス・キリストに「黄金」「乳香(にゅうこう)」「没薬(もつやく)」が捧げられた1月6日の「公現日」までがクリスマスなのです。
アドベントクランツ、クリスマスツリー、クリスマスリースなどもこの日まで飾るのが本来のスタイルです。
クリスマスツリーの始まりは、17世紀のドイツにあるといわれています。
中世のドイツでは、クリスマスイブに教会の前でキリスト降誕祭の序幕として、アダムとイブの物語(神秘劇)が演じられていました。その背景には、アダムとイブが蛇に誘惑されて禁断の果実・リンゴを食べ、楽園から追放される物語が旧約聖書の創世記に登場することにあります。
その神秘劇に使われていたリンゴの木が、その後、クリスマスツリーとして浸透していったといわれています。ただ、リンゴは落葉樹であるため、ツリーには生命の象徴とされるモミの木などの常緑樹が使われるようになりました。
もともとクリスマスツリーには、リンゴの実や聖餐式のパン、ロウソクなどが飾られていました。現在は、ツリーの先端にキリストの生誕の際にベツレヘムの空で輝いたといわれる「星」のモチーフ(イギリスなどでは天使の人形)、リンゴに由来するガラス玉「オーナメントボール」、ロウソクの代わりに電飾などを飾るようになりました。
(以上のお話は、日本キリスト教団 熊本草葉町教会の牧師・難波信義さんに伺いました)
「アドベントクランツ」や「クリスマスツリー」と同じく常緑樹を使い、輪の形に組み、リンゴや松ぼっくりなどを飾り付ける「クリスマスリース」。クリスマスリースは入口のドアに掛けることで、家の中に災いが入らないようにする「魔除け」の意味があります。
クリスマスリースの作り方を「Flower Art School Rico」(熊本市中央区新屋敷)主宰・吉田理子(りこ)さんと、フラワーデザイナー・眞崎優美(まさみ)さんに教えていただきました。
「リースには、クリスマスツリーと同じく、生命の象徴である常緑樹を使います。クリスマスツリーやリースにモミの木を使うのは、その穂先が星型をしていることに理由があるといわれています。モミの木は手に入りにくいので、花屋さんで購入できる“ひば”“ひむろ杉”“ゴールドクレスト”“コニファー”などを使うと良いでしょう。その中から3種ほどの木を組み合わせて作ると雰囲気が出ます」と吉田さん。
枝葉でリースのベースを作り、姫リンゴや松ぼっくりなどで飾り付けをして完成。完成したリースからは、清々しい森の香りが漂います。「アドベントの時期を、リースから漂う香りと共に過ごすのもオススメですよ」と、吉田さんと眞崎さん。
これからクリスマスを待つ時期の記憶に、清々しい木の香りが加わりそうです。
今回、クリスマスリースの作り方を教えていただいた、フラワーデザイナーの吉田理子さんと眞崎優美(まさみ)さんによるクリスマスツリー・リース作りのワークショップが開催されます。 ※4つのコース(A直径30㎝ほどのクリスマスリース、Bキャンドル&直径20㎝ほどのリース、Cワイン&直径20㎝ほどのリース、D高さ50㎝ほどのクリスマスツリー)から選べます。(ハサミ、持ち帰り用袋、エプロンをご持参ください) |
もともとキリスト教では、クリスマス当日の聖餐としてまるごと1羽を焼いた七面鳥などを食べていました。現在、イギリスではクリスマスに七面鳥(ターキー)、アメリカではローストビーフなどを食べる習慣があります。(アメリカでは11月の「サンクスギビングデー」に七面鳥を食べます)
今回、「くまもと手しごと研究所」の宇城エリア・キュレーターであり、食育コンサルタント、食のプロデュースなどを行う相藤春陽さんに、熊本県産の食材を使い、フライパン一つでできる、豪華で簡単なクリスマスチキンのレシピを教えていただきました。
生活密着型の食育コンサルタント、料理教室、食プロデュースなどを行う。「子育て支援団体ママそら☆くまもと」副代表。 「くまもと手しごと研究所」宇城エリア・キュレーター。 |
管理栄養士として25年間医療と食と食育指導の現場に関わり、平成25年5月に食育や栄養相談が気軽にできる栄養士を目指し独立。
国によってクリスマスの時期に食べるお菓子はさまざまです。
フランスでは薪(まき)の形をした「ブッシュ・ド・ノエル」や山型の「クグロフ」、ドイツでは「シュトレン」、イタリアでは「パネトーネ」、イギリスでは「クリスマスプディング」「ミンスパイ」など、ヨーロッパ各国にクリスマスの伝統菓子が伝えられています。またアメリカでは、クッキーや、卵・牛乳・砂糖を温めたソフトドリンク「エッグノッグ」にブランデーなどを加えて味わいます。なお、フランスでは1月6日の「公現日」を祝う祭りに、「ガレット・デ・ロワ」というお菓子が登場します。
ドイツの「シュトレン」は、クリスマスを待つ「アドベント」(待降祭)が始まり、クリスマスを迎えるまでに少しずつスライスしながら食べるもの。ドライフルーツ、ナッツなどを練り込んだ日持ちのするお菓子です。今年から熊本でも、熊本県産の食材を使用した「くまもとシュトレン」がクリスマスの1ヶ月前から県内4店舗で販売されます。
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