「人にも環境にも優しい」をモットーに 植物の持つ美や力を精一杯引き出す
[ #049 ]
#014
山里に新緑が芽吹き土が潤う頃、海辺にも爽やかな春の兆しが訪れます。 お祝いの席に、新酒とともに、家族との夕食に…旬魚の料理で春の食卓を囲みませんか。
熊本県は有明海、不知火海、天草灘に面し、豊かな水産物が育まれるところ。
春に旬を迎える熊本県産の魚の代表格として「桜鯛」が挙げられます。
寒い時期、天草の深い海で過ごす天然の真鯛は、桜が咲く頃産卵のために浅瀬に近づきます。
春本番になり、その頃に水揚げされるものを「桜鯛」と呼びます。
今回は春が訪れる頃(3・4月)に旬を迎える熊本県産の魚、魚のさばき方、魚屋さんと上手に付き合う方法などについて、熊本の魚のプロ3名の方に教えていただきました。
田崎市場で買参権(競り権番号56番)を持ち、鮮魚・マグロ・カジキの仲卸業を営む「福島商店」の福島英雄さん。福島さんは、熊本県「くまもと地魚マスター」の認証、水産庁「お魚かたりべ」の任命を受け、魚食文化の普及・伝承や、魚の調理法・食べ方を伝える講師などとしても活躍されています。福島さんに「春に旬を迎える熊本県産魚」についてお話を伺いました。
「自然のものですので、その時期の気温、降水量などの環境によって、旬や漁獲量は変わります。一般的には、3月に“桜鯛”、“アサリ”、“甲イカ”など、4月は“太刀魚(タチウオ)”、“キビナゴ”、“小さなヒラメ”などが美味しくなります」と福島さん。
「特に青魚は空気に触れるとどんどん味が落ちていきます。さばきたての魚の美味しさ、新鮮な魚の見分け方、保存法など伝えることで、魚の魅力をもっと知っていただきたいです」と、福島さんは言います。
2月末日、福島さんは10年ほどコーチを務めている小学校のサッカーチームの生徒さんの卒業を祝う「お鮨パーティ」を開催。6種の天然魚ネタのうち、1種(アジ)のさばき方を子供達と保護者の方に伝えるための講習会を行いました。子供達はウロコをとったり、三枚におろす作業に楽しそうな声を上げながら、一生懸命に魚と格闘していました。
何度もさばいているうちに、魚の扱い方も上手になるそうです。
■福島商店(一般の方へ小売も行っています)
問合せ:096-323-2306
田崎市場の水産会社勤務を経て、現在、田崎市場で買参権(競り権番号14番)を持つ鮮魚の仲卸会社「遠水(とおすい)」と水産卸の会社「健水(けんすい)」を経営する横田健太朗さん。横田さんは「一般の方に、もっと田崎市場に親しみを持ってもらい、魚の本当の美味しさを知ってほしい」という思いから、平成26年春に「田崎市場 魚(うぉ)っちんぐツアー」を始めました。
「説明の声が参加者に届き、質問などにもすぐ答えられるように」と、参加者は1日限定4名まで。普段は一般の人が入ることができない卸売市場で魚のセリ見学をしながら、どうやってセリが行われるのか、市場に集まる世界の魚や旬の県産魚などに関する話を聞くことができます。その後、田崎市場内の「魚処 魚良(うおよし)」で美味しい朝ごはんをいただき。仲卸売場を回って買い物を楽しみ(自費)、帰りにはお土産までついて参加費は1人500円です(参加条件は小学生以上)。このツアーによって、旬の魚や市場の仕組みを知ることができ、熊本の食の台所・田崎市場がより身近な存在になること必至です。
※ツアーの詳細、申込みは下記のホームページをご参照ください。 (参加希望日の1週間前までにお申込みください。セリが行われる日のみ実施。完全予約制) http://kensui-tousui.com/tour/(別窓リンク) 問合せ:096-274-1616 |
■魚処 魚良
所在地:熊本市西区田崎町380-63(田崎市場・市場会館裏)
問合せ:096-352-5262
営業時間:6:00~9:00/10:00~14:00/18:00~21:00(定休日:日曜・祝日)
■株式会社熊本地方卸売市場
所在地:熊本市西区田崎町484
問合せ:096-323-2001
「魚屋は日本の文化です。皆さんにもっと魚を好きになってもらうためにこの仕事をしています」と「魚味旬味 魚勢(うおせい)」代表の森勢作さん。この店では、魚を刺身や三枚おろしなどにしてもらえるのはもちろん、手数料を払えばお煮つけ、塩焼き、天ぷらなど好みの料理に調理してもらえます。(隣にはお食事処もあり)
「魚の旬を知り、一番美味しい魚を食べるには、うちのような対面式の魚屋さんを見つけて仲良くなることです。“今日は刺身(塩焼き、煮つけ…)が食べたいんだけど、どんな魚が美味しいの?”と尋ねてくだされば、張り切って予算に合う魚をお勧めします」と森さん。「また、皆さんは鮮度が良くて歯ざわりがコリコリの魚が一番美味しいと思っていらっしゃるかもしれませんが、少し寝かせた魚の旨味の美味しさもぜひ味わっていただきたいです」
熊本県の「くまもと地魚マスター」にも認証されている森さん。魚には年に2回美味しい時期があること(産卵前と、産卵が終わってしばらく経ち栄養を体に蓄える頃)、魚がたくさん獲れる時期の保存の方法(三枚におろして冷凍すると、3ヶ月ほどは保存でき、フライや煮魚などで美味しく食べられる…)など、目からウロコのお話を教えていただきました。
魚屋さんと仲良くなり、美味しい食べ方や保存法などをたくさん教えてもらいましょう。
■魚味旬味 魚勢本店
所在地:熊本市東区花立2-3-11
問合せ:096-369-6959
※健軍店、ホームセンターダイキ東町店産直市鮮魚部もあり。
http://uosei.ecgo.jp/index.html(別窓リンク)
※「魚屋さんが教えるお魚のさばき方」(魚勢さんによる、魚のお腹だし、ヒラメ・ヤリイカ・甲イカのさばき方などをYou tubeで見ることができます)
http://uosei.ecgo.jp/page0143.html(別窓リンク)
「人にも環境にも優しい」をモットーに 植物の持つ美や力を精一杯引き出す
[ #049 ]
白磁の美しさを小花に込めて
天草陶石のアクセサリー〈天草陶花〉
[ #048 ]
熊本地震に耐えた登り窯と、自家栽培作物の釉薬(ゆうやく)で作陶
[ #047 ]
300年以上にわたって守り続けられる、
伝統の製法と味「手延べそうめん」
[ #046 ]
伝える副業林業へ。故郷の生き方を模索する2拠点ライター
[ #045 ]
ゆっくりと時が流れる和水町の手作り家具職人
[ #044 ]
熊本の城下町をぶらり歩けば、町並みに刻まれた書家の筆跡
[ #043 ]
自然と寄り添う隠れの里で受け継がれる早苗餐(さなぶり)のみょうが饅頭
[ #042 ]
季節のなかの、家族のおきて ~好きに囲まれて暮らす~
[ #041 ]
季節のなかの、家族のおきて ~島田家のセンス~
[ #040 ]
季節のなかの、家族のおきて ~島田家の季節の味
[ #039 ]
季節のなかの、家族のおきて ~島田家のお正月~
[ #038 ]
スポーツ競技世界の舞台で、光輝く肥後の伝統美
[ #037 ]
お殿様が愛でた無二の焼きもの、八代焼上野窯
[ #036 ]
武士の美意識「肥後象がん」。伝承と革新のものがたり
[ #035 ]
和紙工芸「山鹿灯籠」から生まれた、暮らし彩る新プロダクト
[ #034 ]
暮らしを彩るモノとコト「愛用することで、生きる道具」
[ #033 ]
暮らしを彩るモノとコト「和紙のふるさと、手しごとのふるさと」
[ #032 ]
暮らしを彩るモノとコト「心まで温まる、お茶の時間」
[ #031 ]
露草色の空に虹を見る、「清明」と「穀雨」の頃。
[ #030 ]
五感で春の到来を感じる「啓蟄」と「春分」の頃。
[ #029 ]
一時の温かな日差しに、春の近さを感じる「立春」と「雨水」の頃。
[ #028 ]
雪下に萌黄の芽を探す「小寒」「大寒」の頃。
[ #027 ]
水温み、森羅万象が動き始める「雨水」と「啓蟄」の頃。
[ #026 ]
冬枯れの季節に、春の匂いを感じる「大寒」と「立春」の頃。
[ #025 ]
新しい年に祈りと願いを馳せる「冬至」と「小寒」の頃。
[ #024 ]
冬支度をしながら、師走を想う「小雪」と「大雪」の頃。
[ #023 ]
晩秋から初冬に移ろう、「霜降」と「立冬」の頃。
[ #022 ]
収穫を感謝し、伝統芸能に親しむ「秋分」と「寒露」の頃。
[ #021 ]
実りの秋と、深秋の気配を愉しむ「処暑」と「白露」の頃。
[ #020 ]
猛暑から初秋へと移ろう「大暑」と「立秋」の頃
[ #019 ]
長雨も過ぎ、七夕と夏空に想いを馳せる「夏至」と「小暑」の頃
[ #018 ]
麦が実り、大地が潤う「小満」と「芒種」の頃
[ #017 ]
初夏の「球磨焼酎」を味わい、森林と清流を想う
[ #016 ]
「端午の節句」に込められた、祈りと願い
[ #015 ]
春の海から届く、旬魚のたより
[ #014 ]
春を想う花、「桃」と「桜」のお話
[ #013 ]
魚醤、麹、味噌。3つの「発酵食」の物語
[ #012 ]
アドベントを楽しむ「クリスマス」
[ #011 ]
秋の菊。愛でて食して、風情にひたる。
[ #010 ]
秋の名月を愉しみ、暦(こよみ)を想う
[ #009 ]
伝統の技とアイデアが織りなす、新たな「和紙」のかたち
[ #008 ]
「八十八夜」の新茶を待つ、「山鹿」の春時間。
[ #007 ]
山笑う、感謝と歓びの「お弁当」
[ #006 ]
名残の雪が降る頃に芽吹く、春の「走り」の山菜と野草
[ #005 ]
和菓子で味わう“花鳥風月”と、上巳の節供。
[ #004 ]
春と福を迎えるならわし。「節分」と「初午」。
[ #003 ]
茶道「肥後古流」の作法と、年の始めの「初釜」。
[ #002 ]
年神様をお迎えする、お正月の お仕度。
[ #001 ]