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#012

魚醤、麹、味噌。3つの「発酵食」の物語

味噌、醤油など、日本人は古くから生活の中に発酵食を取り入れてきました。
一年で最も寒い「大寒」は、味噌造りなどに適している時期といわれています。

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03/19

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【二十四節気】
【七十二候】

二十四節気の最後「大寒」(1月20日~2月3日)は、一年で最も寒い時期。
この時期の水は「寒の水」といい、酒や味噌を仕込むのに適しているといわれています。
2013年12月に「和食」がユネスコの世界無形遺産に登録されました。和食において欠かすことができないのが日本の豊かな「発酵食品」の文化です。
味噌、醤油、酢、みりん、酒、納豆、鰹節…古くから日本人は生活の中に発酵食を取り入れてきました。文献によると、平安時代には既に現在使われている発酵調味料のほとんどが使われています。また、縄文時代の後期には、塩漬けした魚介類で造った調味料が存在していたといわれています。
酵母、麹菌など微生物の働きによって生まれる発酵食品は、免疫力を上げるなど健康面にも良い影響を与えます。風邪が流行する冬の時期から、花粉症が出る早春の時期にかけて、積極的に食事に取り入れたいものです。

山鹿市で約180年の歴史を持つ「麹(こうじ)」

醤油、味噌、酢、日本酒…日本人の生活に欠かせない「麹」のお話

醤油や味噌、酢、さらに日本酒を造るためにも必要な麹(こうじ)。日本人の生活に欠かせない麹とはどのようなものなのでしょうか。熊本県北部にある山鹿市の「木屋本店」9代目・井口裕二氏に伺いました。
山鹿市豊前街道の玄関口(惣門)近くにある「木屋本店」。菊池川の水運を活かし米の集積地として賑わったこの地で、天保年間(1830年)の頃より約180年にわたり、人の手を使った伝統的な製法で麹を造り続けている老舗です。
木屋本店での麹造りの行程は、まず熊本県産米を蒸すことからはじまります。次に、ふっくらと蒸された米は、その日の気温や湿度に合わせ、職人の手とカンを頼りに冷やされた後、大きな木で作られた「床船(とこふね)」と言われる容器に移され麹菌がつけられます。さらに、昭和10年頃より使われているという室蓋(むろぶた)に盛られ、温度管理をしながら3日間寝かせると、新雪のように真っ白な麹ができあがります。もしかすると、コンピューターで管理をするともっと楽に麹を造ることができるのかもしれませんが、木屋本店では、日々麹の息づかいに耳を傾け、手間ひまをかけて造られているのです。
できあがった麹は、様々な商品に生まれ変わります。たとえば、熊本県産大豆と長崎産の塩を使った完全無添加(麹が生きたまま)の「味噌」や無添加・無加糖・ノンアルコールの「甘酒」、香りがまろやかでツンとこない「銘酢」など。さらに、平成24年週刊文春で全国区1位に選ばれた「奇跡の… 塩こうじ」や熊本県物産振興協会主催の平成25年度優良新商品開発審査会で優良新商品として表彰された「奇跡の… 醤油こうじ」などです。
麹は、肉料理の下ごしらえに使うと、肉が軟らかくなり旨味も増すといわれています。使い方も食材に混ぜるだけという手軽さ。毎日の生活の中に取り入れたい食品の一つです。

【木屋本店】

所在地:熊本県山鹿市山鹿1820
電話: 0968‐43‐2301
http://www.kouji-kiya.kumamoto.jp/index.html(別窓リンク)

木屋本店 Facebook
https://www.facebook.com/MuWuBenDian(別窓リンク)

【写真(左・上)】
明治に建てられたそのままの姿を残す旧麹室内部。
【写真(右・上)】
室蓋で3日寝かせられできあがった麹。米の花と書く「糀(こうじ)」という字が生まれたのもうなずける。
【写真(左・下)】
木屋本店内。右から書かれている屋号や壁にかけられている升、跳ね上げ式の玄関扉などに、創業約180年という歴史を感じる。
【写真(右・下)】
職人の手を使った、伝統的な麹造りが今も続けられている。(画像は「木屋本店」様からお借りしました)
熊本県物産振興協会主催の平成25年度優良新商品開発審査会で優良新商品として表彰された「奇跡の… 醤油こうじ」。「醤油こうじでマグロ丼」「鶏肉、豚肉、お魚類の醤油こうじ付け焼き&唐揚げ」などのレシピが付いている。
魚と塩で造る天草市牛深町の調味料「魚醤」

カツオ、イワシ、サバと天然海塩。豊かな海の恵みだけを使い、自然の力で発酵させる「魚醤」

天草市牛深町のハイヤ大橋の下、冬の海風が吹く海岸に面した一帯に、魚を燻(いぶ)す香りが漂っています。「西岡勝次商店」は、昭和初期からこの地で節の製造・販売を行ってきました。天草の海で水揚げされたカツオ、イワシ、サバを使い3種の魚醤造りを始めたのは、2代目の西岡勝成さん。現在では3代目の西岡勝太郎さんがその製造を引き継いでいます。
魚醤造りは全て手作業で行います。まず、獲れたばかりの新鮮な魚を丸ごとミンチ状にし、塩と水を加えて常温で1年半以上かけて熟成。その後、濾(こ)して水を加えて塩分を調整し、牛深産の昆布を加えて火入れをします。「例えると、魚醤はワインのようなもの。魚が獲れる時期や魚の状態によって味わいが変わります」と西岡さんは言います。
旨味のもととなる「アミノ酸」を豊富に含む魚醤は、和洋中いろいろな料理に使うことができます。刺身醤油に1~2滴加えたり、餃子やつくねのたねを混ぜ合わせる時に少し垂らしたり、チャーハンや焼きそばの隠し味として最後の仕上げに使ったり…。コツは隠し味として控えめに使うこと。天然の旨味とコクによって料理に深みが生まれます。
西岡さんのオススメは、最後にカツオの魚醤をサッと鍋肌に沿わせてパスタを仕上げる「ペペロンチーノ」や、鶏もも肉に魚醤と日本酒を揉み込んで焼くだけの「鶏焼き」など。
天草近海の魚と天然海塩だけを使い、自然の力で発酵させた無添加の調味料。天草の魚醤はまさに豊かな海の恵みが凝縮した味わいです。

【写真(左・上)】
昭和初期から牛深町で節の製造・販売を行っている「西岡勝次商店」3代目・西岡勝太郎さん。
【写真(右・上)】
海から吹く風で魚を乾かす風景。乾かした魚は煮干しや節に使用する。
【写真(左・下)】
牛深漁港で水揚げされた、新鮮なウルメイワシとマイワシ。(画像は「西岡勝次商店」様にお借りしました)
【写真(右・下)】
活気に満ちた牛深漁港。(画像は「西岡勝次商店」様にお借りしました)
【写真(左)】
魚醤は「イワシ」「カツオ」「サバ」の3種。天草産の優れた食品や商品に与えられる「天草謹製(あまくさきんせい)」にも認定されている。
【写真(右)】
西岡さんオススメの「鶏焼き」。鶏もも肉にお好みの魚醤と日本酒を揉み込み、皮目をパリパリに焼いて仕上げる。

【合資会社 西岡勝次商店】

所在地:熊本県天草市牛深町3627‐2
電話: 0969‐73‐3648

冬の「味噌造り」

子育て奮闘中のお母さんたちが一緒に楽しく仕込む
「味噌」

「縁側moyai(もやい)」というサークルの代表を務める「くまもと手しごと研究所」熊本市エリア・キュレーターのオノユリさん。オノさんは、御主人の仕事の関係で熊本に移り住んで6年になります。自分と同じように夫の転勤で熊本に住み、家族や友人がいない土地で子育てに奮闘するお母さんが多いことを知り、“人と人をつなげたい”“古き良き時代のようにみんなで子育てしよう”という想いで2013年にサークルを立ち上げました。サークルには熊本で生まれ育ったお母さんたちも参加し、子供を連れて遠足に出かけたり、ランチ会・いきなり団子教室・アロマ虫よけ教室など、週に1~2回の割合でさまざまなイベントを開催しています。
味噌造りは冬の時期に行っている催しの一つ。2014年12月上旬に希望者が集い、仕込みが行われました。
大変な作業を想像していたのですが、味噌造りの工程は意外にもシンプル。そして昨年仕込んだ味噌をいただき、その芳醇な香りと旨味に驚きました。
この冬、皆さんも味噌造りに挑戦してみませんか?

味噌の作り方(別窓リンク)
【写真(左・上)】
「くまもと手しごと研究所」熊本市エリア・キュレーターのオノユリさん。人と人をつなげたい”“古き良き時代のようにみんなで子育てしよう”という想いで、2013年に「縁側moyai(もやい)」というサークルを立ち上げた。味噌造りは冬の恒例イベントの一つ。
【写真(右・上)】
1日1回は食事の中に旬の食材を使った「味噌汁」を取り入れたい。
【写真(左・下)】
お母さんたちの味噌造りの様子を興味津々に眺め、お手伝いする子供たち。「『縁側moyai』では子供の食育も重視しています。子供たちにお味噌を作る光景を目に焼き付けてもらったり、つぶした大豆や麹の触感やつまみ食いした味から何かを感じ取ってもらえればと思い、遊び感覚でお手伝いしてもらっています」とオノさん。
【写真(右・下)】
オノさんが昨年仕込んだ米麹味噌は芳醇な香りが漂い、旨味もたっぷり。味噌はきゅうりや人参など野菜と一緒に食べても美味しい。味噌の材料となる大豆、塩などは熊本県産を使用。

【縁側moyai(もやい)】

https://www.facebook.com/engawamoyai(別窓リンク)

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