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#039

季節のなかの、家族のおきて ~島田家の季節の味

今日は何の日?

09/22

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【二十四節気】
【七十二候】

四季折々にある年中行事は、心新たに節目、節目を家族で迎えるためにある素敵な習慣や風習です。
今回の特集は、そんなならわし、暮らし方を大事にされているあるご家族の、家族ならではの節目の過ごし方、大切に受け継いでいる伝統や習慣を、ほんの少しだけ共有させていただきます。

季節を感じて暮らすこと

季節を感じて自然と共に生きる。
そんなことを意識しながら毎日生活しているなんて、過去の私を知る人からは誰も想像がつかないのではないでしょうか。
むしろこの変化に一番驚いているのは私自身なのです。
二十四節気や節句、暦の上の行事ごとを行うことだけが、その季節を生きている事に結び付くと勝手に思い込んでいた私。
でも新しい季節を風や雨が運んでくる事に気が付いたのはそう遠い昔ではありません。
島田家に嫁いで、より大切な季節の過ごし方に気付かされたのです。

近年の日本人の季節の過ごし方は、自ら季節の変わり目に目を向けているようには見えません。
例えば節分と言えば豆まきをして恵方巻を食べるといった風。
多くの人が世の中の風潮を受け身に享受するばかり。
それまでの私も、この日にはこれを食べるのが一般的だから食べる、店頭の行事用特設コーナーなどに「あぁ、もうこんな時期か」と気付かされるという風でした。世間一般のルーティンが敷いていったレールの上をただなぞって行く様な生活 。

日常の暮らしのなかで見つける季節の味

島田家に嫁ぎ、日常のありかたを改めて見つめることで、今までの自分の過ごし方がいかに受動的なものであったということに、初めて気が付いたと
言った方が正しいかもしれません。
主人をはじめ島田家では楽しみにしている季節の味があります。
それは特別なものではなく、ドライブの途中にふと気づく季節の植物のようなもの。
水のきれいな小川を見つけると、クレソンを探してみたり。
庭を歩きながら、蕗の薹を見つけてみたり。
春になり山へ出かけると、「そろそろ、タラの芽あるかしら?」とそんな感じ。
秋は「お父さんの大好きなむかごの時期ね。車停めて探してみようよ」と。
それは決して誰かが種をまいて育てた食物ではなく、自然の中で自生している恵みを見つけてその季節の味を楽しむ。
そう、島田家の特技は自らの感覚で自然の中へ出かけ、その季節をハントすることなのかも しれません。

自生するクレソン

湧水の里・島崎のクレソン

恥ずかしながら島田家に来た頃の私は、いま挙げたクレソン、蕗の薹、タラの芽、 む かごなどの名前は知っていても、食べたことはなかったのです。
どのような場所に生息していて、どのように採って、どう料理すれば美味しいのかなんて全く知りませんでした。
なんでそんなに知っているのかと主人に尋ねたところ、「逆に日本人なのになんでそんなことも知らないの?」と。
そんなこんなで、私にとっては未知の世界であった植物たちと触れ合う時間が島田家に来てから少しずつ増えていきました。
植物学的な知識を島田の父や母に学びながら、休日には自然の中に飛び込んで遊ぶようになりました。遊びながら知識を増やし、季節を感じて旬のものを頂く。
今まで苦手だったクレソンを自分で水に入って採ることがこんなにも楽しいとは。
しかもみずみずしさや自然の苦みがおいしく、自分で料理するようになるとは!私にとっては嬉しい誤算です。

金峰山湧水群と美味しい季節の恵み

そんなものを採りに行く自然の場所は車で何時間も走っていくようなところではありません。
お散歩がてら行けるようなところに湧水があり山がある島崎。島崎の魅力のひとつがこの自然なのです(島田美術館は熊本市西区島崎にあります)。
島崎に金峰山湧水群が存在していることを知ったときは、驚くとともに知らなかった自分を恥じ入りました。これは金峰山系一帯に点在する20箇所の湧水群
のことで、中でも、第3代肥後藩主細川藩主綱利が建てたお茶屋跡の釣耕園(ちょうこうえん)は「雲を耕し月を釣る」と詠まれた池泉のあるお庭があって、それは見事です。

飛び石を配した広い池に山渓を取り入れた美しい庭園がある釣耕園

釣耕園の目の前にある少年の家跡では岩の間から湧き出る水に心洗われます。
少し北に足を延ばすと西浦荒神さん近くにある瑞厳寺跡は蛍の名所でもあります。
湧水があるところにはクレソンが生息していることが多かったり、山手に行くとむかごが採れたり。
さらに嬉しいことに、井芹川沿いを植木方面に進む「ゆうかファミリーロード」ではロードバイクでサイクリングが出来ます。季節のいい時期はこの湧水群にいくつも立ち寄りながら、心地よい風を体いっぱいに受けることができるのです。
幸運なことに熊本には贅沢なほどよい資源がまだまだたくさんあります。

【写真(左)】
少年の家跡の遊水
【写真(右)】
ゆうかファミリーロードは途中に階段がある全国でも珍しいサイクリングロード

季節の感じ方や取り入れ方は人それぞれで楽しむことにルールなどありません。
私は仕事上、花の開花や入荷で季節を感じ楽しんできましたが、いまはそれに加えて島田家オリジナルの暦で季節を感じ美味しい旬のものを頂くという楽しみが増えました。
皆さまもオリジナルな楽しみ方で美しい日本の四季を探求してみてはいかがですか。

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