小満次候 紅花栄[べにばなさかう]
子どもの頃の心に帰る里山の初夏
朝、少し早く起きて、近くの小高い山に登ります。
標高151.7m。熊本市民から「への字に見える」と親しまれている、なだらかな山容の立田山。
地元の高齢者の方がたが「おはようございます」と声を掛け合って歩く、その背中に朝のオレンジの木漏れ日が当たる様は、初夏の湿度の低さとも相まって実に清々しい雰囲気です。
山頂に近づくと、実験林の中の草地がぽっかりと広がっています。
今朝、そこで見つけたのは野いちご。
いまから45年ほど前の、まだ小さかった子どもの頃。
野辺にあった野いちごをちぎって口に入れたときのことを思い出しました。
今では市街地が広がって、立田山をドーナツのように街が取り囲んでしまいました。ということは、こんな里山に、すぐに行けるのが熊本の街ということもいえるわけで。
間近で久しぶりに見た野いちご。
朝日に真っ赤なつぶつぶが輝いて、子どもの頃の気持ちが不意に思い出されました。