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夏至次候   菖蒲華[あやめはなさく]

世界文化遺産、登録決定!

2018年6月30日更新
【キュレーター】木下 真弓 天草エリア

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「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界文化遺産登録がつい、今しがた決定しました!

今、私がいるのは、構成資産のひとつに数えられる天草下島の崎津集落。

パブリックビューイングが行われている会場はたくさんの地域の皆さんであふれかえり、登録決定が告げられると、歓呼の拍手と笑顔でいっぱいに。

登録を目指して11年。

後世にのこす歴史遺産としての価値をさらに深く見つめるために先延ばしになった経緯もあり、地域の皆さんや、登録に尽力なさった皆さんのこれまでに思いを馳せると、胸が熱くなりました。

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と同時に、なんだか無性に、幼い頃から知る崎津の日常に会いたくなって、一足先に会場を出て、集落を歩いてみています。

細い道の両側に、家がひしめき合うコンパクトな漁村集落。

静かな入江にはちいさな漁船が停泊し、ちゃぷんちゃぷんと船底をたたく波の音が響きます。
道の真ん中で無防備に毛づくろいをする猫たち。
どこからともなく漂ってくる煮つけのにおい。

気づけば、集落の氏神さまでもあり、禁教下のキリシタンたちがひそかに
祈りを捧げた場所でもある「崎津諏訪神社」の境内にいました。

カナカナカナと夏虫の声を遠くに聞きながら、いつもよりちょっとだけ大目にお賽銭をしてそっと手を合わせました。

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潜伏キリシタンの信仰を守ったこの地には、キリスト教だけでなく、仏教や神道、山岳信仰、エビス信仰などいろいろな祈りの文化が息づいています。

そこには、宗教がなんであるかに関わらず地域のコミュニティを守り、互いに共存するために寄り添いあった先人たちの知恵と工夫、思いやりもあったように思います。

この島で生きるため。
この島で家族を守るため。
この島の営みを次の世代へつなぐため。

先人たちが紡いでこられた日々のことを、あらためて大切にしたいと思いました。

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