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大暑初候   桐始結花[きりはじめてはなをむすぶ]

自然との共生、復興

2020年7月26日更新
【キュレーター】木下真弓 八代エリア

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あおあおとした流れをたたえる球磨川が町のまんなかを貫く、八代市坂本町。球磨川やその支流沿い、そして一部の高台などに、70を越える小さな集落が点在しています。美しく整えられた段々畑や民家の庭先に広がる菜園には、季節の野菜がたわわに実り、集落を見守るお堂さんには、近隣の人たちがことあるごとに集っていました。
旧暦の七夕が近づくと、稲わらを器用に編んだ鶴や亀、蛸といった「七夕綱(たなばたづな)」を住民総出でしつらえるなど、昔ながらの風習を脈々と継承する集落もあります。五穀豊穣や子孫繁栄、お盆の先祖迎え、悪霊払いの意味合いに加え、禍除けの結界のような意味合いも持つという七夕綱。そこには、きびしい自然と折り合いをつけて生きてきた先人たちのさまざまな願いが込められていたのかもしれません。
<2018年に書かれた七夕綱の特集記事はこちら>

https://kumamototeshigoto-labo.jp/smp/special.php?id=20(別窓リンク)



このまちで繰り返される日常はまさに、古き良き日本そのもの。ですが今、この町の人々の多くが、そうした日常を紡ぐことができない状態に置かれています。



坂本町では、7月4日の豪雨が引き起こした土砂災害でまちの動脈でもある国道219号が寸断され、いまだアクセスが困難な地区もあります。点々と広がる集落にそれぞれ被災した方がいらっしゃり、電気や通信、水道などが復旧途中ということもあり、被害の全容が見えにくい状況もあるようです。今回の豪雨災害にあたり、「球磨川アドベンチャーズ」が町の許可を得てひらいた支援拠点のひとつ「八代市坂本災害支援ハブセンター」(田上社会教育センター内)を訪ねました。



球磨川の源流域〜下流域をフィールドにさまざまな活動をつづけるNPO団体「球磨川アドベンチャーズ」。天候や球磨川の水位変化で危険を察知し、それぞれがボートや救命胴衣を車に積み込むなどの備えをしていたそうで、発災当日は30名ほどの住民を救出しました。今は、球磨川や八代海をフィールドに環境活動を繰り広げる「次世代のためにがんばろ会」などと手を携えながら、広範囲に点在する集落の支援ニーズの把握と物資配布、家屋等の復旧ボランティアに当たっています。



この日、同会を介してボランティア先として派遣されたのは、破木集落にあるお宅。濁流とともにたくさんの竹や木材、土砂などが家屋や庭先に流れ込んだそうで、3週間近くが経ってもなお、床下は濡れた土砂でいっぱいでした。床下の土砂かきは同日訪れていた社協のボランティアさんたちにお任せし、こちらのチームは、庭先に積もった木々の撤去をさせていただくことに(社協のボランティアでできる内容には、いろいろな制限があるようです)。普段から森林の手入れをしているというチェーンソーの達人が大木や長い竹などをシュンシュンと伐っていき、それをひたすら一輪車に積み込んで仮置き場へと運ぶ、という作業でした。



電化製品や畳、木材などが仕分けされて積み上げられた仮置き場には、立派な漬物樽がいくつも置かれています。「うちの漬物樽もあるけどね、この辺はみんな漬物も味噌も自分でつくるからいっぱいあったでしょ?」とは、家主の奥様。避難をと思った矢先に、ものすごいスピードで水が押し寄せてきたため、慌てて2階へ避難したというご夫妻。渦を巻きながら押し寄せる濁流のなかに、あちこちの家の漬物樽がクルクル回って庭へと流れていくのを呆然と見ていたそうです。むき出しになった床下を眺めながら、「住まれるようになっとは、1年先ぐらいかねー」とつぶやくご主人。



近隣に住む別のお宅の方は、「雨のひどかときは〇〇集落に住むおじたちの家に、いつも呼ばれよった。畳を上げて床板をはがすでしょ。そしたら梁の上に床板をしいて、畳を並べる。その上に、家財を総出で上げてしまうと。あそこはいつも浸かるけんね。ばってん、わが家も水に浸かったとは初めてばい」。



実は、仮置き場で漬物樽を目にしたとき、季節の営みを大切に暮らしていた人々の日常を、一瞬にしてのみ込んでしまった自然の猛威に、言葉を失ってしまったのですが。それでもなお、この地に根を張って生きていくと語る皆さんの表情にハッとした午後。球磨川の恵みと脅威をともに受け容れて生きてきたこのまちの人たちの強さに学ばせていただきたいことがたくさんあるので、また近々、お邪魔したいと思っています。
※坂本も、芦北も、小国も、牛深も、報道で注目される人吉球磨同様に、復興の手が足りない状況が続いています。梅雨明けもまだですが、そうこうしている間に熊本はまもなく、台風の季節を迎えます。まだまだ土砂まみれの家財や畳ががそのままになっている家もあり、早急に多くの人の力が必要です。また、重機やチェンソーなどをあやつれる方も求められているよう。1日でもいいので、ボランティアできるという方は、社協や各ボランティア団体に尋ねてみてください。


◉熊本県社会福祉協議会の災害ボランティアセンター情報はこちら

https://kumamoto.shienp.net/(別窓リンク)


★ボランティアはじめてさんにおすすめ★
県民ボランティア10000人!プロジェクトはこちら

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000031868.html(別窓リンク)


★被災地と、コロナ禍にあえぐ学生に希望のひかりを★
県内学生を対象とした有償の学生支援チームのクラファンはこちら

https://kumamoto-team.net/archives/1072(別窓リンク)


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◉球磨川アドベンチャーズはこちら

https://www.facebook.com/kumagawaadventuresyatsushiro/(別窓リンク)


◉次世代のためにがんばろ会はこちら

https://ja-jp.facebook.com/pages/category/Nonprofit-Organization/y.ganbarokai/(別窓リンク)


(写真1枚目は、流れ着いた木材や土砂を取り除いたあと、庭先で見つけたミョウガの花)


2020年7月26日の投稿
大暑×自然との共生、復興
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キュレーター 木下真弓

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