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白露末候   玄鳥去[つばめさる]

不知火海の悲しみと自然の恵み

2021年9月20日更新
【キュレーター】浦 ひとみ 水俣・芦北エリア

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先日、水俣をそして水俣病と、水俣で生きる患者、胎児性水俣病患者の方達その家族などの取材・撮影を行ったアメリカの写真家ユージン・スミスを題材とした映画が全国上映に先立ち、水俣で上映された。
それに、連動して、水俣の隣町津奈木町にある「つなぎ美術館」で、「ユージン・スミスとアイリーン・スミスが見たMINAMATA」展が開催されると聞き、津奈木町に向かった。
初めて訪れた「つなぎ美術館」は、その瀟洒な佇まいが自然溢れる津奈木の風景に溶け込み、また、窓から見えるその景色はまるで1枚の絵のように美しい。
「ユージン・スミスとアイリーン・スミスが見たMINAMATA」展は、そんな館内の一角で開催されていた。それほど広くないスペースだが、そのモノクロの写真からは、強く魂の響きや人の息遣いが聞こえてくる様。ありふれた漁村のありふれた日常の写真もあり、それがかえって生々しく、日常を奪った被害の大きさを改めて思う。
その写真の迫力とつなぎ美術館の美しさに圧倒されながら外に出た。
津奈木町は、町全体が美術館であるかのように自然に溶け込むようにブロンズ像が建てられている。
津奈木町での次の目的地も、そんなブロンズの横を通り、少し急な石橋を渡った先にあった。
「つなぎ温泉四季彩」。
温泉も併設している建物。
私の目的は、温泉ではなく、レストラン。
津奈木町では、
町内の飲食店や販売店で、
7月10日(土)~9月20日(月)まで
『つなぎ金鱧フェア』が開催。
不知火海で捕れた鱧は、その美しさから「金鱧」と呼ばれ、今の時期の鱧は、産卵に向けて栄誉を蓄えるために、身が厚く脂がのっているそう。
私が食べた「金鱧の竜田揚げ定食」の金鱧も身が厚く、脂がのっていて美味しい。
残念ながら、今年の「つなぎ金鱧フェア」は、終了してしまった。
つなぎ美術館の2階には、モノレール乗り場というのがある。
奇岩「重盤岩」を含む舞鶴城公園とつなぎ美術館を結ぶモノレール。
舞鶴城公園は、つなぎ美術館の屋外ゾーンという位置付けがあるからのよう。
舞鶴城公園には、展望所や遊歩道が整備され、夕方には、展望所から夕日に染まる美しい不知火海の眺望を見渡せるらしい。
モノレールはオペレーター1人を含め、9名まで乗車可能、 延長241m、乗車時間は、片道5分ほど。
最大勾配は33度あり、全国のモノレールでも2番目の勾配というモノレール。
令和2年7月豪雨災害のため運休中との事だが、令和3年度中に復旧予定との事。
津奈木駅に向かう途中の「ふれあいの店」では、新生姜を、
途中下車した佐敷のスーパーでは、
地元の野菜や鬼塚蒟蒻、岩永醤油のさしみ醤油を購入。
同じ県内では、
調味料の味付けに違いはないだろう?と
言われるが、その土地々々の特産に合わせ、
それをよりおいしく味わうような味付けになっている事も多い。
過去に公害被害という苦しみ、悲しみを経験した不知火海沿岸の町々。
そして、昨年の豪雨という自然被害により、
新たな苦しみ、悲しみを抱えた不知火海の町々。
おれんじ鉄道で八代へと向かう車窓から見える不知火海は穏やかで、陽射しを浴びてキラキラと輝く。
熊本地震から5年、豪雨から1年、
時は進んでいると信じたい。
再びこの地を訪れて、四季折々の自然を感じたい。

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