啓蟄初候 蟄虫啓戸[すごもりのむしとをひらく]
茶室 仰松軒





熊本の茶道の聖地と言えば、なんと言っても立田自然公園泰勝寺跡にある茶室「仰松軒」。
京都嵐山の天竜寺塔頭真乗院にあった細川三斎公好みの茶室を、起し絵図(立体的な設計図)に基づき大正11(1922)年に復元されたものです。平成20(2008)年に一度解体修理がありましたが、熊本地震では塵穴の先の壁が崩れ落ちるなどの大きな被害を受けました。
地震の被害は大西市長のご配慮もあって、早々に修復していただきましたが、この場所は池の畔の鬱蒼とした竹林の中なので常に湿度が高く、茅葺の屋根に雑草が生えたり、畳や壁紙等にも傷みが目立っていました。何とかならないものかと考えていたところ、この度、3月19日から開催される「くまもと花とみどりの博覧会」に合わせて全面的に修復工事が行われ、見違えるように美しい姿を取り戻しました。ありがたいことです。
「くまもと花とみどりの博覧会」は、『森と水の都くまもとで花と生きる幸せをつむごう』をテーマに、3月19日から5月22日まで熊本市内の三会場などで様々なイベントが開催されます。立田自然公園がある立田山一帯もメイン会場の一つ(まち山エリア)となっており、博覧会の開催に合わせて、茶室そのものに加え遊歩道や案内看板なども整備されました。町中からは少し距離がありますが、多くの方に足を運んでいただき、立田山の自然と熊本の茶の湯の歴史に親しんでいただければと思います。