小満初候 蚕起食桑[かいこおきてくわをはむ]
波奈之丸舟屋形天井画の再現模写に見る技巧




肥後銀行本店1階「肥後の里山ギャラリー」で開催中の企画展「熊本の宝を未来につなぐ 再現模写の世界 熊本藩御座船波奈之丸舟屋形天井画」に展示されている再現模写された作品を見ると、花びらや実の部分が立体的に描かれていることに気づきます。これは、貝殻を微粉末にした胡粉という白色の顔料を盛上げた下地に色を乗せていく「置上」という手法によるものです。胡粉と膠を混ぜたものを使いますが、その塩梅がなかなか難しいということです。
岩絵の具で描かれた色彩豊かな画の周辺は、金彩で華やかに装飾されています。金箔を細く切って貼りつける截金(きりかね)や三角形・菱形・丸型などの形に切った截箔(きりはく)、金箔を粉末状にした砂子(すなご)などの技法が駆使されます。
また、黒塗りの枠を彩る飾り金具は十字型のもので16本、T字型12本、L字型8本の釘によって止められており、25枚の天井画をはめ込んだ一面に約500本の釘が使われています。精密さを求められる究極の手しごとがここにあります。
展覧会名:熊本の宝を未来につなぐ 再現模写の世界 熊本藩御座船波奈之丸舟屋形天井画会 場:肥後の里山ギャラリー
熊本市中央区練兵町1番地 肥後銀行本店1階
会 期:2022年5月11日(水)~2022年7月2日(土)
開館時間:9時30分~16時30分
休 館 日:日曜
入 館 料:無料