大暑次候 土潤溽暑[つちうるおうてむしあつし]
ひびのこづえ展に見る生きとし生ける動植物の纏う衣装なるもの










7月もあと数日となりました。行動制限のない夏休みが始まりましたね。
が、ここに来て第7波の襲来により熊本も含めてコロナの感染者数が増加しています。
先週の国別のコロナの新規感染者数で世界でワースト1位になったようです。
その状況を踏まえ、遠出、旅行を躊躇されているのではないでしょうか?
そんな時は、街なかの美術館で開催中の展覧会にお出かけはいかがですか?
鶴屋デパートの向かい、ホテル日航熊本の入ったビルの3階にあります熊本市現代美術館では
【熊本市現代美術館開館20周年記念
不思議の森に棲む服 ひびのこづえ×KUMAMOTO 展】
2022.7.2(土)〜 2022.9.19(月・祝)が開催されています。
入口を入ると天井から吊るされた巨大なチュールに蝶々や花のモチーフ、19台のモニターによって映し出される様々なダンス。
緑の人工芝の奥にはキラキラと輝くステージ、
そしてその頭上にはふわふわの巨大なカブトムシや鳥が浮いている。
表題の中の「服」=洋服、ファッションと想像して思いが一瞬に書き消されました。
じゅうたん毎に展示されている「服」の横にはその服を着たダンサーの映像が流れキャプションには作者であるひびのこづえさんの想いに溢れている。
コスチューム・アーティストとしてご活躍されているひびのこづえさん。NHK「にほんごであそぼ」の衣装や野田秀樹の舞台衣装を手がけて来られたひびのこづえさん。
本当にやりたいという事を3、4年前に見つけられたそうです。
「コスチュームを着てダンサーに踊ってもらう事」。
まさに今回の展覧会は、それを表現されています。
「からだであそぼ」でもタッグを組まれた森山開次さんや東京オリンピックの閉会式で踊られたアオイヤマダさんなど日本を代表するダンサーのダンスパフォーマンス。
人の身体の柔軟性や表現力の高さ。
また、会場にはNODA・MAPの「フェイクスピア」の衣装も展示されており、タグに書かれたその役を演じられた役者の名前に感慨深く感じました。
ひびのこづえさんの作品には動植物がよく出て来ます。幼い時期に経験された自然を通しての遊びや植物図鑑に魅了された事が根底となっていると以前のインタビューで答えていらっしゃいます。
そして「ただきれいだけでなくて、表面的なきれいさに潜むものも表現したい」とも語られています。
ひびのこづえさんは、2001年のコクーン歌舞伎の衣装を手がけられた後、歌舞伎や狂言などの衣装も手がけられています。
既存の伝統芸能の殻を破りたいという当時の中村勘九郎(故・18代目中村勘三郎)さんや中村福助さんの働きかけによって実現となったようです。
ひびのこづえさんの「服」は、まさに衣装。
それは性別や年齢をも超えて、
時にその衣装が皮膚を感じさせる。
コロナ渦になり、ソーシャルデスタンスが叫ばれて久しいですが、
その「衣装」や「映像」を通してソーシャルデスタンスとは真逆にある皮膚感を感じる展覧会です。
https://www.camk.jp/exhibition/hibinokodue/
2022.7.30の投稿
熊本市エリアの情報
キュレーター 浦 ひとみ
大暑×美術、生きとし生けるものの本質、ひびのこづえ、コスチューム・アーティスト、衣装、演劇、歌舞伎、自然、熊本市現代美術館