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立秋初候   涼風至[すずかぜいたる]

カルデラに魅せられ、書物を愛した学者 松本唯一と松本文庫展が熊本県立図書館併設のくまもと文学・歴史館で開催されています

2022年9月26日更新
【キュレーター】浦  ひとみ 熊本エリア

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熊本を表すシンボルとして、熊本城と同じように有名な阿蘇山。
そして、阿蘇山を表現するものとして、「カルデラ火山」というのは周知の事ですが、その阿蘇山を含めた「九州の四つの巨大カルデラ火山」という論文を発表し、現在の学説の基盤となるカルデラ形成説を提唱し、世界から注目を集めた学者がかつて熊本にいました。
その学者とは「松本唯一」氏。
栃木県に生まれた松本唯一氏は、東京帝国大学(現在の東京大学)を卒業後、福岡県の明治専門学校(現在の九州工業大学)、九州帝国大学(現在の九州大学)で教鞭をとり、九州の火山、阿蘇山を生涯のテーマとして、踏査、研究に取り組みました。
その後、松本唯一氏は、昭和20年に熊本工業専門学校(現在の熊本大学工学部)、昭和24年に熊本大学初代理学部長に就任されています。
昭和28年、熊本の市街地を襲った六・二六水害では、すぐに熊本市街地の水害調査を実施し、昭和38年には熊本県からの委嘱を受けて熊本県地質図を完成されています。
会場では、第1章から第4章までに分類され、地質学者としての仕事、松本文庫と名付けられた松本唯一氏の蔵書、そして唯一氏自身が自ら高い崖を登り集められた標本の数々。
火山学者としての功績はもちろんですが、
同時に「日本書紀」や「古事記」などの古典籍も数多く収集し、
徳冨蘆花や「歎異抄」を蘇らせた暁烏敏とも交流し、自らも短歌を創作されていた文学的な一面も感じられます。
また、太平洋戦争の際、シドニー湾で戦死された松尾中佐の母の訪豪にも尽力されています。
松本唯一氏の生誕130年を記念して開催されています展覧会。
熊本の人であれば、誰でも「阿蘇山=カルデラ」と言えるその基盤を作られた火山学者松本唯一氏についての展覧会、足を運ばれてはいかがでしょうか。
「松本唯一と松本文庫 カルデラに魅せられ、書物を愛した学者」展
令和4年8月5日(金)~9月26日(月)
開館時間/午前9時30分~午後5時15分
くまもと文学・歴史館
(熊本県立図書館併設)

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