ページ内移動リンク

小暑末候   鷹乃学習[たかすなわちわざをならう]

G3-Vol.150「中村賢次展 畏と安」関連イベント展示室内での公開制作 | 展覧会関連イベント | 熊本市現代美術館 CAMK

2023年7月21日更新
【キュレーター】浦 ひとみ 熊本エリア

写真ギャラリー 飛ばしてテキストへ

日航ホテルの入る建物に
ぴぷれす広場から続くエスカレーターで3階に上がり、
受付やミュージアムショップの前を通り過ぎ歩くと正面にある睨みをきらした「雷神」。
現在、熊本市現代美術館で井手ギャラリー、第3ギャラリーでは、
日展特別会員で現在、崇城大学で教鞭を執られています中村賢次さんの個展「畏[おそれ]と安[やすらぎ]」が開催されています。
熊本市内出身の中村さんは、
高校時代に日本画の画材である岩絵具の鮮明な美しさに魅了され金沢に大学に進学後、
円山応挙の流れを汲む京都画壇に
その才能を見い出され、
長く京都で活躍され、平成12年に崇城大学芸術学部創設に伴い帰郷され、
現在は同大学芸術学部で後進の育成にも励みながら、精力的な創作活動をされています。
会場は二つのパートに分かれています。
力強い自然が描かれた「阿蘇」をテーマにした数々の絵画は、まるで阿蘇山が生き物のように感じます。
一方、「花」をテーマに描かれた数々の作品からはその華やかさに心奪われます。
普段は多良木町小学校の玄関に飾られている「多良木町の四季」も今回、展示されています。
 絵には四季折々の花が市房山を背景に描かれ、古くから永年大切に受け継がれてきた重要文化財が描かれています。
その中心には、美しい青い鳥が飛んでいるのが目にとまります。その鳥は「ハチドリ」といい、一羽のハチドリはとても小さい鳥ですが、みんなで力を合わせると大きな力となる事を表されているようです。
その絵の台紙には、多良木町槻木で取れた三椏(みつまた)の木を材料とした和紙が使われているそうです。
 中村さんは地元の熊日新聞で連載されている日本近代史家である故渡辺京二さんの「小さきものの近代」の挿絵も手がけられています。
あくまで私の感想ですが、
阿蘇の野焼きの絵にも多良木町の四季の絵にも
眼の前に見える風景の奥にその地に住む方の想いが
投影されているのを感じます。
地震、水害と自然災害が続き、その間に起きたコロナ禍にも見舞われた熊本。
熊本の人であれば誰もが
古代の昔より阿蘇山を身近に感じ、
球磨川の清らかな水によって生活の恩恵を受けて来たからこそわかる
噴火や水害という自然の脅威への畏れと
晴れた日の穏やかにたなびく阿蘇山の煙、美しい川の調べの安らぎ。
そんな中でも脈々と続く風土や歴史は刻まれ自然はまたそれを見ている。
展覧会場で作品を見ていると忘れかけていた自分の中にある懐かしい感情を思い出します。
中村賢次 個展
「畏[おそれ]と安[やすらぎ]」は、
熊本市現代美術館で7月30日(日)まで開催されています。
入場無料。
詳しくは熊本市現代美術館のHP等でご確認ください。
熊本市現代美術館 ギャラリーⅢ・井手宣通記念ギャラリー
G3-Vol.150 中村賢次展 畏おそれと安やすらぎ
2023.5.17(水)~2023.7.30(日)
開館時間  
午前10時から午後8時(展覧会入場は午後7時30分まで)
休館日
毎週火曜日・年末年始
※火曜日が祝日の場合は開館し、翌平日休館
2023.7.21 の投稿
熊本市の情報

「エリア最新情報」「候の最新情報」へのナビゲーションエリア 飛ばしてフッターへ

ここから共通フッター